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薬師寺東塔 修理現場

公開: 2019/04/29

薬師寺東塔は解体修理のため素屋根で覆われていますが、その内部を見学できるということで、10連休の最初の日に行ってきました。

今までも何回か見学できる機会があったみたいで、気付かなかったのが残念です。
10連休期間だけの公開で、あとは来年3月の落慶法要まで見ることはできません。

パンフレット:

内部見学はヘルメット着用で、写真の右手が素屋根内部への入り口です。

内部は東塔を取り巻いて斜路が組んであり、各層の周りを見ながら水煙が見えるところまで上がれます。平らな作業スペースへはどこも入れませんでした。

パンフレットに水煙が写っていますが、下のように現場では足場が組まれていました。3月に新旧の水煙が地上で公開されているので、パンフレットのは交換する前で、この写真はすでに交換された水煙と思います。

傷みの激しい部材は交換されたそうですが、良く見ないと分からないように着色(?)されています。

これだけのものが1300年前に造られ災害をくぐり抜けて建ち続けてきたこと、またそれを現代の技術で解体修理できるということに、なんとも言えない感動を覚えました。

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薬師寺 – 東塔の水煙

公開: 2019/3/6
修正:2019/3/8

薬師寺東塔の水煙(すいえん)が造り替えられたということで、見に行ってきました。
公開は3月10日(日)までで、白鳳伽藍の拝観料が必要です。


仏塔の上に突き出している金属製の装飾を相輪と言うそうで、透かしになった4枚の板状の鋳物が水煙です。

新たに作られたのは、水煙とその上下部分などで、水煙は擦管(さっかん)という円筒形の部品の四方に嵌め込まれているようです。

羽衣をなびかせて笛を吹いている飛天(24体)の姿を浮き彫りにしていて、透かしの多い薄い鋳物を造るのはとても難しかったと思います。

薬師寺のすぐ横が、近鉄・西ノ京駅です。

東塔を囲む素屋根
右手に見えるのは大講堂と金堂の一部で、西塔の相輪がわずかに見えています。

西塔

西塔は、最後の宮大工と呼ばれた西岡常一(にしおか つねかず)棟梁により、1981年に再建されました。西岡棟梁は法隆寺付きの宮大工ですが、薬師寺金堂の再建(1976年)もされています。
再建にあたって、建築関係の学者との大きな論争もあり、『樹齢千年の檜は千年持つ、鉄やコンクリートは持って数百年や』と現代工法を突っぱねた人です。

木材の乾燥収縮を見込んで東塔より約30cm高く作ったそうで、完成から40年近く経って丹塗りの色が落ち着いてきましたが、あと数百年経てば東塔のようになるのでしょうか?

お目当の水煙は人が多くて写真が撮りにくかったです。
一眼+でっかい望遠を持ったおじさんが割り込んできて、無理やりレンズを突き出すので、シャッターを切るタイミングでさりげなく(!)肩を当ててあげました。

1300年を経た水煙

飛天の拡大
新しいもの

1300年前のもの

2月26日のTV報道によると、富山県高岡の伝統工芸高岡銅器振興協同組合(長い!)が製造を引き受けて、原型製作から鋳造までを各社で行なったそうです。
高岡は仏像や置物などの鋳物関係で有名なところです。
こういうものはロストワックス法で作るかなと思ったんですが、実際は上下の型を合わせる一般的な方法で、また、合わせた型を立てて鋳造していました。

材質は、銅93%、錫(すず)2%、ヒ素2% という特殊な成分でした。一般に青銅というと錫がもっと多いです。鋳造温度は1250℃だったそうですが、ヒ素の毒性って飛んでしまうんでしょうか?
鋳造後、酸やアルカリの薬品で発色させてオリジナルの色に合わせているそうです。

東塔の上に載せられてしまえば、こんなに近くで見られるのは何年先でしょうか。
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