originalmind」タグアーカイブ

CNCフライス(7) Z軸、スピンドル

編集: 2018/02/28 19:00

Z軸全景


Z軸上下機構

Z軸は、Y軸上を動くZベースプレートの上に組み付けてあり、スピンドルプレートが上下に動きます。

Y軸は、X軸と同じ機構でZベースプレートを動かしています。

スピンドルプレートは、Zベースプレートに組み付けたガイド部のスライドプレートに案内され、送りネジは ヒロスギネット で購入したM6精密ロングネジ(SUS303)を使っています。
スペースがないので台形ネジが使えず、M6寸切を使ったこともありましたが、精度や表面仕上げが悪いので上の製品を見つけて交換しました。
ナットはジュラコンから削り出して、X、Yと同じくダブルナットで与圧をかけています。

MDF材で作った最初の機械は全軸ともにスライドプレートが無く、アルミアングル(アルマイト加工)で直接MDF板をガイドしていましたが、フレームをアルミに変えた時に2mm厚のテフロンシートをカットしてスライドプレートとしました。
その後、XY軸はリニアガイドに改造しましたが、Z軸はスペースが無く当初のままです。

スライドプレートは、摩擦係数が低いとしてテフロンを選択したんですが、テフロンシートは大根の桂剥きみたいにして作るそうで、0.02~0.04mmの厚さムラがあります。
接着などができないので厚みを加工(両面)することができず、素材を寸法にカットしただけで使っていて、当たりが出ていないのがずっと気になっていました。

昨年、実際の摩擦抵抗を測ってみてあまり違わないのでジュラコン(POM)に変更し、片面を仕上げて皿ネジで固定してから厚みを仕上げるようにしました。
ただ、押さえの皿ネジは、強く締め込むと板が波打つので、わずかに押さえ込む程度でロックタイトで緩み止めをしてあります。

スライドプレートの両面を切削したので接触面が均一に当っているようで、加工精度が上がったような気(!?)がします。

ガイド部は、スライドプレートを取り付けたL型のアングルブロックと押さえ板で組んでいます。
アングルブロックはZベースプレートに、押さえ板はアングルブロックにボルトで止めてありますが、押さえ板にはアングルブロックのボルトが見える穴を開けています。
この構造で、スピンドルプレートの厚さ方向と幅方向のクリアランス調整を独立させています。
厚さ方向は押え板の取付面、あるいはジュラコン材の裏側ににシムプレートを入れて調整することにしていましたが、幸いシムプレート無しでピッタリでした。
幅方向の調整は、ワークテーブルY方向に対するスピンドル上下の鉛直度の調整も兼ねています。

摩擦抵抗を少しでも低くするため、スライドプレート表面にエーゼット CKM001を塗布してあります。
のオイルは各軸の送りネジにも使っていて、ダブルナットの与圧を強くしてもステッピングモータの負荷が小さくなりました。
それまでのオイルでは、寒い時期に電源投入直後にG0で動かすと脱調することがあったのが、まったくなくなりました、すごいです。

スピンドル

スピンドルは、当初の機械はベアリングをアルミアングルで支えているような簡単なもので、スピンドル自体も近くの鉄工所で作ってもらったものでした。
その後、10mmシャンクのER11コレットチャックに変更し、ベアリングブラケットを作り直しました。

さらに、THKリニアスライドSC16の内径がちょうど#6001ベアリングの外径(Φ28)に合うのに気がついて、コレットチャックを12mmシャンクのものに変更し、ベアリングケースにしました。


左が10mmシャンク(#6000)の旧タイプ(コレットチャックは抜いてあります)、右が現在のSC16+12mmシャンク(#6001)です。
12mmシャンクのER11コレットチャックは、シャンクに8mmくらいの通し穴があるので、長いエンドミルやドリルを保持するのに好都合です。
長さは、ダイアモンドコッピングソーで比較的簡単にカットできました。

eBayで購入したのでテーパ部の振れ精度などがでしたが、TIR 0.01以内に収まっています。
同じくeBayで買ったコレットはスリ割の仕上げが酷く、ダイアモンドヤスリで仕上げないと使えなかったんですが、振れ精度はとりあえず使えるレベルでした。
コレットは結局、
イスカルの6mmをモノタロウで購入しました。
eBayなら10個以上買える価格でしたが、精度は言うことなしです。

小径のエンドミルやエンドミルシャンクドリルを使うため、大昭和精機のストレートコレット(外径Φ6、内径Φ3とΦ4)も購入しています。
1/8″(Φ3.175)のコレットが欲しいのですが、いいのが見つかりません。

THKリニアスライドSC16は、長さがそれまでの自家製ベアリングホルダとほとんど同じで、モータブラケットやZ軸送りステッピングモータなどをいじることなく入れ替えることができました。
下図はスピンドルの断面ですが、上下のベアリングの内輪間にスリーブを入れて、円周4ヶ所の皿ネジ+ローゼットワッシャでベアリングの外輪を押さえています。


スリーブは、ベアリングの幅とベアリングケースの幅から長さを決め、適当な与圧がかかるように摺り合わせをしています。
まともな設計なら外輪側にもスリーブを入れて与圧を合わせるんですが、ベアリングケースの上下面が平行であると期待して(!)手抜きをしています。

下の写真は、上面のベアリング押さえネジ(スペースの関係で4ヶ所)と、回転数検出の光電センサ、反射シールを貼ったカップリングが見えます。

下面にLEDと配線を埋め込む溝を加工して、運転中はエンドミルなど工具の周囲を照らすようにしています。

下の写真は真下から見上げたもので、下面にLED保護のために2mmの透明アクリル板を取り付けてあります。

切粉カバーと吸引装置

加工時の切粉(キリコ)は、特にケミカルウッドやコーリアン樹脂の場合は非常に細かいので、何らかの方法で収集しなければなりません。
オリジナルマインドでブロワファンMBD10-24Aというのがあったので、アクリル板でケースを作り、市販の掃除機用紙パックが使えるようにしました。

モータ取付部分をいじっているうちに壊れた(壊した!)ので、24VDCモータに替えてあります。
ダクトはホームセンターで買ったものです。

スピンドル側は、取り外しできるようなスカート状のカバーを作りました。
8mmのアクリル板で形を切り出して2mmの溝を入れ、カッターに巻き込まれない程度の幅に切ったクリアファイルをゴム板で押し込んで、写真のように適当な間隔で切り込みを入れてあります。
アルミやアクリルもそこそこ吸い込んでくれて、傷んだら簡単に交換できます。

 

ブロワファンはけっこう吸引力はあるんですが音も大きく、加工中は切削音より吸引装置の方がうるさい状態で、電源のトリマーで電圧調整して必要最小限にしています。

/////

CNCフライス(1) 作ってみる

編集: 2018/02/23

CNCフライスは、“自作”、”CNC”などで検索すると中国製のキットや小型の汎用フライスをCNC化している例が多いですが、長野県岡谷市の株式会社オリジナルマインド
から、まさにオリジナルの数種類のキットが出ています。国産キットは、この会社だけと思います。

同社でキット、コントローラ、Mach3などのソフト(ライセンス代行)、工具など必要なものを購入すればすぐにでも何か作ることができ、サポートも対応が丁寧です。
さらに、材料やオリジナル部品、中古部品なども販売していて、自作ユーザーにはありがたい存在です。

また、自作自慢の掲示板 というサイトを参考にさせてもらっています。
中身は「自作自慢の掲示板!」「挨拶雑談掲示板!」「何でも質問掲示板!」の三つに分かれています。
厳密な区分はありませんが、質問やこんなの作りましたというようなことを投稿すれば、いろいろヒントをもらったりできます。
特定のソフトやメーカーに偏らず、汎用フライスをCNC化したユーザーも多く気軽に投稿できるのでお勧めです。
投稿内容からいろんな発見があり、運営されている方にはとても感謝しています。

もう一つ、たまたま近くにあったのが幸運だったんですが、ねじの松喜という会社があります。
一般的なボルト、ネジ、ピンなどはたいがい在庫していて、1本(!)から買えます。
特殊なものは取り寄せてもらえて、家人の勤める会社に頼まれた銘板用のパーカーリベットも翌日には手に入りました。
ホームセンターなどでは数本単位で価格も高く、欲しいものがないことも多いので、ありがたい存在です。

私はメカの技術屋だったので、退職を機にCNCフライスを自分で設計・製作してみようと思いついたのが始まりで、削るものをあとから考えるという変わった(?)方向で始めました。
作り始めて数年は、設計変更した部品を加工して現在の部品と入れ替えるという、何十年も前に学校で習った「工作機械の歴史」をなぞるようなことを繰り返して楽しんでいました。

最初は下のようなMDF材で作ったペラペラのもので、単にXYZがプログラム通りに動くという程度のものです。
ボールペンを付けて、Gコードで四角や円など入力した形が描かれた時は嬉しかったのを覚えています。
寸法がきっちり出ているのと表面が滑らかなのでMDFを使い始めたんですが、早い話がとても分厚い紙(!)なので、剛性というのは全く期待できません。

スピンドルは、マブチモーターの一番大きいのをタイミングベルトで減速しています。

減速にはタイミングベルトやVプーリーなどいろいろ作ってみましたが、どうしても音が大きくて長く苦労しました。
今は、高トルクのDCモータ(eBayで購入)を直結することで解決しています。

余談ですが、
モータ軸にコレットチャックを直結したものがブラケット付きでeBayなどにたくさん出ていますが、モータ軸のベアリングは軸方向の遊びが大きくて切り込み深さ(Z)の精度が出ないので、浮き彫りなどの加工には使えません。

 スピンドルは近くの鉄工所で作ってもらったもので、エンドミルなどを押しネジで固定するものです(6mmシャンク限定)。送りネジはM6寸切、ガイドはアルミアングル(アルマイト仕上)でMDF材を直接押さえています。
このころは、アルミを削るのに 切り込み 0.05mm 送り80mm/min くらいで、切削量は現在の1/100くらいでしょうか。
ただ、送りネジの誤差をMach3の Config > Motor Tuning > Steps per で合わせておけば結構正確で、ボルト穴やタップ下穴をセンタードリルで開けておいて、ボール盤でドリルを通せばきっちり合いました。

第2世代(?)として、本体フレームをアルミ板で作り直し、各軸の送りガイドはテフロン板を組み込んだものにしています (下の写真の赤丸の部分)。
スピンドルモータの減速や送りネジはMDF時代と変わっていません。
スピンドルもベアリング剥き出しの簡単なもので、今から見るとよく削れてたな〜という思いです。

現在では、送りガイドをリニアガイド(Z軸を除く)に、スピンドルをER11コレットチャックに、送りネジを台形ネジ(Z軸を除く)になど、各部を変更・改良してきましたが、今に至るまで全体の構成は変わっていません。

アルミ合金なので残念ながら鉄鋼材料は削れませんが、アルミ材およびアクリルなどの樹脂材料はそこそこの加工ができるようになりました。

キットではなく、自分で考えて作ったCNCフライスについて、順不同ですがボチボチと書き綴っていきます。

/////