投稿者「boncnc」のアーカイブ

スペイン – コルドバ (Córdoba)

公開: 2018/11/13
動画追加編集: 2018/11/19

グラナダからコルドバへ移動、お昼ごろ到着。

コルドバは、ローマ時代にグアダルキビル川 (Rio Guadalquivir) を航行する船舶の上流へ到達できる限界に築かれたそうです。コルドバのあたりで川が大きく蛇行し、川幅も広くて港が作りやすかったんでしょうか。
他の多くの都市と同じように、ローマ帝国〜イスラム教〜キリスト教と栄枯盛衰の歴史を繰り返してきました、とエラそうな話は案内書の受け売りです。
個人的には花の街という思い込みがどこかにあったので、10月なら花はないやろな〜と思っていましたが、面白いイベントに出会いました (後述)。

ホテルの目の前が有名なメスキータ (La Mezquita、イスラム教のモスク) の南側ファサードで、グアダルキビル川にかかるローマ橋 (Puente Romano) も歩いてすぐです。

ローマ橋のメスキータ側にあるプエンテ門 (Puerta del Puente)

ローマ橋、橋の向こうに見えるのがカラオラの塔 (Torre de la Calahorra)


カラオラの塔は、イスラム時代の資料や模型などが展示されている、アル・アンダルス博物館となっています。
入ってないので、内部の様子は分かりません。

 

カラオラの塔から見たプエンテ門と “サンラファエルのトリウンフォのモニュメント”

ローマ橋(下流側)

メスキータの南東にアルカサルがあります。アルカサルは城を意味する一般名詞ですが、コルドバにあるのは “キリスト教徒の王たちのアルカサル” (Alcázar de los Reyes Cristianos) という長い名前が付いています。

右手に馬場があります

新大陸発見のための資金援助を求めて、フェルナンド2世 (Fernando el Católico) とイサベル1世 (Isabel la Católica) に謁見するコロンブスの像

庭園の噴水がきれいです
 

メスキータの方へ戻って、有名な花の小道 (Calleja de las Flores) へ行ってみました

BSの”世界で一番美しい瞬間(とき)” というコルドバのパティオ祭りを扱った番組で紹介されていた、おじさんと少年の像 (勝手な命名です) がありました。
これは、地元の作家ホセ・マヌエル・ベルモンテ (José Manuel Belmonte) さんの作品で、テレビ画面に映った Plaza de Manuel Garrido Moreno という場所を検索したらホテルの近くでした。

もうひとつ、番組で紹介されたベルモンテさんの作品がありました。これは場所がわからず、ホテルのフロントの女性に画面を見せたら知っていました。
写真の撮り方が下手で、花鉢に水遣りをする女性が背景に埋まってしまいました (泣)
 
ここは、何人もの観光客が入れ替わり写真を撮っています。

ちなみに、コルドバのパティオ祭りは毎年5月に開かれ、期間中は家々のバルコニーやパティオの花の美しさを競い合うそうです。

ウロウロしているうちに日も暮れてきて、

ホテル近くのバルへ
ビールとサングリア、ガスパッチョ、生ハム、コロッケ(?)
   
   

グラナダ二日目は、メスキータへ。
入場料は €10ですが、月曜〜土曜の朝8時30分〜9時30分は無料なので、8時過ぎに行ったらすでにこの行列 !
けっこう寒かったので(?)、ブレてます。

内部の二重アーチは有名ですね

アーチ部分を修復したのとオリジナルの違い。オリジナルの部分はレンガ自身の赤褐色(積んだレンガの端面が見えている)ですが、修復部のは塗装です。

メスキータ創建時にあったカトリック教会の遺跡、床のモザイクが保存されていました

礼拝の間の正面に、メッカのカアバ (Kabah) 神殿に向いているキブリ壁 (muro Kibli) があり、ミフラーブ (Mihrab) という小部屋のような窪みがあります。

ミフラーブの手前の天井、構造や装飾がなんとも見事で光の取り入れもすごいです。

実際にメッカを向いているのかミフラーブの前で方位を見てみると、左のように147°でした。
地球上の2地点の距離・方位を計算するサイトで、メスキータとメッカの緯度・経度を入力すると108°余りになりましたが、アプリの測定誤差かなと納得しました。イスラムの皆さまゴメン

 

 

 


メスキータ内の鐘楼、無料時間終了の9時半になったらガンガン鳴らしていました。

 鐘の音に追い出されて、市内を歩くことにしました。

ローマ橋の上流のミラフローレス橋 (Puente de Miraflores)

ビアナ侯爵邸 (Palacio de Viana)
典型的なアンダルシア風邸宅だそうで、パティオが12もありました。

比較的大きなパティオに入ると、前衛的というか全く雰囲気の違うものがあり、見てみると国際フラワーフェスティバルの展示の一つでした。

これは、イギリス、日本、スペイン、ベルギー、ロシア、中国の6人のアーティストが市内のパティオや庭園でオリジナルの作品を展示するお祭りでした。
その期間がなんと今でしょ!(古い?)ということで、他の展示も見に行くことにしました。

 

 

 

このパティオで展示していたのは、中国の Sherlovell Yu さんの “Flowing”


ロシアの Natalia Zhizhko さんの “Here Comes the Sun”

    

スペインの Lola Guerrera さんの “Perseida”


パティオ巡りの間もビールは欠かせません
     

日本の Hideyuki Niwa さんの “Driven by Passion”

イギリスの Carly Rogers さんの “Folly”

ベルギーの Mark Colle さんの “The Children of the Park”
     

パティオ祭りはもちろん季節が違いますが、こんな展示があるとはラッキーでした。

メスキータやビエナ侯爵邸、フラワーフェスティバルの展示場などを巡って、この日はヘルスケア・アプリによると14Km近く歩き回りました。

ホテル近くのバルで夕食(の一部)、サンミゲルを飲んでみました。

明日は、最後の宿泊地マドリッドへ列車で移動します。
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スペイン – アルハンブラ宮殿

公開: 2018/11/08
編集: 2018/11/08

グラナダ三日目にアルハンブラ宮殿 (Palacio de la Alhambra) へ行きました。

アルハンブラ宮殿の入場チケットは取りにくいと聞いていましたが、ナスル朝宮殿(Nasrid Palaces)への入場日時がオフシーズンに近い時期なのに空きが無く、日にちをずらしました。ハイシーズンでは3ヶ月前でも日時によっては難しいそうです。
また、予約時にパスポート番号や年齢、性別、自宅住所、メールアドレスなどの入力が必要で、とても厳しいです。無料の子供でもチケットが無いと入場できません。
かって高値で転売するブラックマーケット(?)があって、本人確認のために厳しくなったとタクシーの運転手さんが言ってました。


ところが実際には、予約完了時のPDF(プリント、スマホ画面)を係の人がゲートでスキャンするだけで、パスポートを見せろなどとは言われませんでした。
以前は、予約時のクレジットカードを確認してチケットを発行するなどいろいろやっていたようです。途中で出ても、再入場できます。
パンフレットは二人で行っても1枚しかもらえません。知らん顔して別々に通過すればもらえるかも。ほとんどスペイン語です。

LA ALHAMBRA と書いてある右が入口ですが、グループと個人に分かれています。
なぜか、グループの方に長い列ができていました。
この日は朝から雨で、結局午後遅くまで本降りでした!

ナスル朝宮殿の予約は午後1時だったので、先にヘネラリフェの方へ歩いていきます。
左手にアルハンブラ宮殿内の建物が見えます。

ヘネラリフェ庭園

こういった噴水があちこちにあって、水源は何?と思いました。
アルハンブラは丘の上にあるので、何らかのエネルギーを与えない限り、より高い位置に水源がないと水が来ないはずです。

宮殿のあたりは標高780mくらい ですが東側に800〜1000mの台地があり、そこの貯水池が水源という記事がありました。
この記事によれば、全長6Km、高低差20mの水路を作ったとなっています。
南東にあるシエラネバダの雪解け水が水源という記事も多くありましたが、水脈としては同じではないでしょうか。

敷地内に、水の塔に繋がる水道橋がありますが、ここまで来て貯水し、熊本にある通潤橋などと同じ原理(逆サイフォン)の閉じた管状の水路で噴水まで繋いでいるのではと思います。ただ、大規模な水道橋は現存していないので、貯水池からアルハンブラの丘までの水路も同じ形式ではなかったかと。
場所は忘れましたが、修復中?のレンガ造りの水路らしきものには蓋がありました。

日本では伏越(ふせこし)あるいは噴水管などと呼ぶそうですが、古人の技術は大したものです。

ヘネラリフェをぐるっと回って、アルハンブラ宮殿へ入ります。
糸杉が刈り込まれた「セカーノの散歩道」

サンタ・マリア・デ・ラ・アルハンブラ教会

カルロス5世宮殿、周りのイスラム建築と全く違うルネサンス様式

カルロス5世宮殿の内部

ナスル朝宮殿へ入るのを待っている人たちと、列に並んで!と追い返す係のおばさん
 

メスアールの間の木組みの天井

メスアールの中庭

コマレス宮のアラヤネスの中庭
晴れていれば、コマレスの塔が水面に映ってキレイなんだそうですが残念!

ライオンの中庭、言われないとライオンには見えないんですが … (カピバラ?)

建物内部の装飾は、壁も天井もすごいの一言です
 
 
 

繰り返しの文様はユニット化しているようですが、単にサンプルを展示してるだけ?
説明文には plaster とありますが、石膏と漆喰とどっちでしょうか?
  

宮殿中庭と水盤、雨の中きれいでした

Washington Irving がアルハンブラ物語を書いたという部屋があります
本は買いましたが、ちょっとしか読んでません

修復しているところの防護シートになぜか日本語が

雨の中、アルカサバから見た、ナスル朝宮殿入場待ちの行列

同じく、アルカサバから見たアルバイシン地区

アルハンブラについては旅行記が山ほどありますので、下手な説明はこの辺で …
歩き疲れて、雨も止んだので(雨でも行きますが)、ヌエバ広場のバルへ
 
カウンターのお兄さんが愛想が良くて、一緒に出てくるタパスもおいしかった

これはまた別のバルで、アンチョビの唐揚げ
 
アヒージョ

茄子の揚げ物+甘いソース

お昼もいったん外へ出たんですが、今日もビールばっかりの楽しい1日でした。
明日はコルドバへ
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スペイン – グラナダ(Granada)

公開: 2018/11/07
編集: 2018/11/07

マラガからグラナダへ、バスで2時間弱。
ホテルはアルハンブラ宮殿入口から徒歩5分くらいで便利ですが、街の中心からはちょっと離れています。街へ行き来するにはアルハンブラバスが便利です。
アルハンブラ宮殿(La Alhambra、宮殿・要塞、スペイン語で言うとラランブラだそうですが区別はつきません)、ヘネラリフェ(El Generalife、王族の夏の離宮)、アルバイシン(El Albayzín、イスラム教徒の居住区)の三つが世界遺産に登録されています。
アルハンブラ宮殿については別の記事にまとめます。

チケットの予約日時は2日後なので、ホテルでゆっくり朝食のあと、ぶらぶら宮殿の周囲を偵察(?)し、市内を歩いてみます。
チケット売り場の周りにたくさんの人がいますが、本日分は売り切れです!
 
当日券は、朝5時ごろからたくさんの人が並んでいるそうです。

脇の道を歩いていくとカフェ La Mimbre が … さっそくビールを、タパスも出ました。
このスペインオムレツはとても美味しかったです。
 


道の所々に一帯の地図の付いた標識が立っています。
大部分がスペイン語であまり役に立ちませんが、ナスル朝宮殿はチケットの時刻でないと入れませんよという注意は英語でも書いてあります。

 

 

 

アルバイシンのほうへ向かう途中の小高いところにサン・ニコラス展望台があり、アルハンブラ宮殿の全景が見えます。

ちょっと曇り気味で、雲が低いです。
この展望台は人気の場所で、たくさんの人が入れ替わって写真を撮っています。
後ろにサン・ニコラス教会の大きな建物があるんですが、そちらは誰もいません。

お昼をだいぶ過ぎて街中のレストランに入りました。ここでもビール …

ここで支払いを済ませ、いったんホテルへ戻ろうと市内を周回しているアルハンブラバスに乗った時に、財布が無いことに気がついたんです。ショルダーバッグをひっくり返しても無い!
逆方向のバスに乗りかけてホテル方向のバス停を探してウロウロしたんで、注意が逸れてスリの餌食になったんでしょうか。

 財布を無意識に尻ポケットへ入れていた?
 グラナダのスリはマラガに比べて上手?
って、言うてる場合とちゃうやろ !!!
今まで社用、私用で20回以上海外へ行っていますが、落とし物とか何かを盗られたのとかは初めてで、思い切り落ち込んでしまいました。

ホテルへ戻って、クレジット会社の緊急連絡先へカード停止の連絡をしましたが、被害はカード1枚、現金約€70、関空リムジンの復路チケットなどです。
旅行に必要でないキャッシュカードなどは抜いてあったので助かりました。

気を取り直して、ホテルからぶらぶら出かけて適当なバルをハシゴすることに。
左のが最初のタパスで、右のが2杯目のです。
  

グラナダ二日目は、アルハンブラ宮殿の北を流れているダロ河渓谷の北に広がるサクロモンテ(Sacromonte)の丘のほうへ行ってみました。
アルハンブラ宮殿とヘネラリフェの間の道を歩いてダロ河を渡ると、サクロモンテの手前にコルドバ宮殿というのがありました。グラナダにあるのにコルドバという名前がついている理由はわかりません。広い敷地ですが宮殿という感じはせず、パティオ(中庭)がきれいです。

コルドバ宮殿の前を北上して右折、サクロモンテ通り (Camino del Sacromonte)に入ると、坂道の崖に洞窟フラメンコのタブラオがいくつもあります。
その先に、ジプシー(スペイン語ではヒターノGitano)が住んでいた洞窟住居を保存した Museo Cuevas del Sacromonte (サクロモンテ洞窟博物館)があります。
(博物館のリンクページは英語ですが、半分くらいはスペイン語のままです)

このあたりの位置関係ですが、図の右上のピンクの部分がサクロモンテです。

洞窟博物館敷地内の各洞窟の説明板

用途によっていくつかの洞窟がありますが、内部が暗くてきれいに写真が撮れなかったので、詳しくは、高橋 樂さんの旅行ガイド を見てください。

洞窟博物館の展望台から見ると(高橋さんの記事ではトイレの前と書いてありますが)、遠くにアルハンブラ宮殿を望む絶景です。

ダロ河を見下ろす格好になりますが、ダロ河渓谷の斜面は北側と南側とが500mほどしか離れていないのに植生の違いが大きい、という詳しい説明板が3枚ありました。

博物館のある北側斜面(=南を向いている)は、日照時間が長く高温低湿で植生の多様性に乏しく、乾性植物と呼ばれる硬くて明るい色の種(リュウゼツランやサボテン)が多いそうです。確かに、地面が見えてとんがったリュウゼツランらしい群生が見えます。
はるかにアルハンブラ宮殿が見えている南側斜面は緑が濃く、木々が茂っています。

眺望を堪能して、ダロ河沿いにグラナダ大聖堂の方へ下ってきて、サンタ・アナ広場のレストランで遅い昼食(スペインでは普通!)
アルハンブラビールとシーフードパエリアを注文。(CERVEZAS=ビール)
  
美味しかった!

大聖堂近くのアルカイセリア通りに行ってみました。

この通りは、イスラム王国時代の絹織物の市場だったそうで、今は土産物屋さんなどいろんな小さいお店が密集しています。楽しくウロウロしましたが写真を撮っていないので、詳しくはこちらを、手抜きでスミマセン。

通りを抜けると、大聖堂の角の塔が見えました。

大聖堂の近く、カルメン広場(Plaza del Carmen)に面してグラナダ市庁舎があります。

ところが、知り合いが以前にスペイン政府観光局から送ってもらったパンフレットのグラナダ編に載っているのと違いました。

左の写真がパンフレットのもので、時計の上に紋章(?)がついたアーチ状の構造物が付いているんですが、今は時計が変わってアーチが無くなり、馬に乗った人物像になっています。
門灯(?)も無くなっています。

 

入口にいた警備員みたいな人にパンフレットを見せて聞くと、変わったんやろけど理由は知らんと笑ってました。パンフレットに 5th Edition(2011) とあったので、ここ何年かのうちに改装されたみたいです。
変なところに食いついてしまったみたいで、役に立たない情報でした。

その他、あちこちのバルをハシゴしながら、ホテルへ。
 

グラナダ二日目もビールばっかり飲んでいました。
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スペイン – マラガからジブラルタルへ

公開: 2018/10/31
動画追加編集: 2018/11/22

アバンザ(Avanza、スペインのバス会社)で、ジブラルタルまでの往復チケットを事前に予約しておきました。
ジブラルタルはイギリス領なのでバスはスペイン側のラ・リネア(La Linea)まで、マラガから片道約3時間。
朝6時45分の始発で行って、帰りは午後4時30分のに乗ってマラガ帰着が午後7時25分。
ホテルを早めに出て、バスセンターのスナックでパンとコーヒーの朝食。

定刻通り発車、10時前にラ・リネア到着。

まず、Vodafoneの店を探してSIM購入、€25。
店員さんに、テザリングについてLebaraではできなかった話をすると、それはキャリアの問題ではなくあんたのiPhoneがおかしい!となぜか強く主張されました。
今から考えると、たぶんAPNのことを言ってたのかなと思います。帰国後に調べたら、LebaraのAPNをインストールすれば使えるというネット情報がありましたが、確認はしていません。
話の最初に店員さんにはテザリング(tethering)という単語が通じず、internet sharingと言えば理解しました(発音が悪い?)。iPhoneでは、Personal Hotspot でした。

ともかくiPadに繋がるSIMを確保して一安心、歩いて国境を通過。
ジブラルタル・ロックが聳えています。

国境通過のスタンプを押してもらいたかったけど、係官らしき人がいなくてパス。
イギリス側へ抜けるとすぐにジブラルタル空港の滑走路があり、 AIR FIELD AHEADという標識が見えますが、ここで離着陸時に道路を閉鎖します。

下は、ジブラルタル・ロックへ登るケーブル(ロープウエイ)のパンフレットですが

図の左端がスペインとの国境。

ケーブルの途中から、北西方向;

ケーブル頂上の展望台からロックと滑走路、ほぼ北方向;

パンフレットにあるグレーのラインがトレッキングコースみたいで、ロックの頂上付近まで歩いて行けますが、そんな恐ろしいことはしません。
東側を見下ろすと、きれいなビーチがありました。

南西〜南南西方向を見る、左の方がジブラルタル海峡

ケーブルを下ってきて、ジブラルタルの街中へ戻ります

英国風パブ THE ANGRY FRIAR でフィッシュ&チップス、ビール込み二人で £21.35

昔はまずい料理の代名詞みたいなイギリス料理の中で、これだけはマシでした。
2012, 15年にロンドンへ行きましたが、今はどこでも何の料理でもおいしいです。
ここのもそれなりに美味しくビールも満足だったんですが、2杯目の1/2パイントのビール(写真は一杯目の1パイント)が雑巾ビールでした!
思わず、マネージャーらしき年配の女性にこれマズイよと言いましたが、ビールメーカーのムラがあるのよと取り合ってくれず。隣のテーブルの女性もちょっと飲んで残していました。ビールサーバーのメンテがなってないんじゃ!と怒鳴り(たかった)。

行きはシャトルバスでしたが、帰りは歩いて滑走路を渡ります

滑走路のど真ん中で左右を撮影、左が西向き(27)、右が東向き(09)
  
滑走路を横切っている道路は、ウインストン・チャーチル通りだそうです。

空港はイギリス空軍(RAF)が管理しています (デジタルズームはどうも …)

遮断機。道路はつながっているので大英帝国の土地でも右側通行です

ここで、まず無理やろな〜と思っていた奇跡(!?)が起こりました。
前方から人が来ないなと思っていたら、遮断機が下りて通行止めをしていました。
これって、離陸か着陸があるということ?
渡り終わって待っていると、ビジネスジェットが着陸してきました。
行く時にはeasyJetのB737が2機くらい駐機していて、こんなのが離着陸するとこを見たいなと思っていたんですが、なんたる偶然!小型機でも結構ですよ。
サーバ変更で動画もOKになりましたが、サイズ制限のため分割しています。

ビジネスジェットの着陸進入

 

着陸して、駐機場へ戻っていきます

 

遮断機が開き、交通再開

 

ネットで見てると、空港の離着陸予定に合わせてツアーを組まれる方もおられるようで、たまたまタイミングが良くて幸運でした。

バスに乗ってマラガのホテルへ帰ります。
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スペイン – マラガ(Málaga)

公開: 2018/10/30
編集: 2018/10/31

関西空港(KIX)からKLM オランダ航空でアムステルダム スキポール空港(AMS)へ
機材はBoeing777、デカイです

B737に乗り継いで、マラガ空港(AGP)に午後8時前に到着。
ちなみに、関西空港の作業用車両はほとんどが新車になっていますね。

マラガ空港から電車で市内中心部まで行き、SIMが無くGoogle Mapが使えないので、事前に地図をPDFに落としたものを見ながらホテルまで歩きました。
自信がないので途中で通りがかりの人に聞いたら、どう考えても真逆の方向を教えられて、遠回りになりながらも何とかホテルに到着。
フロントで聞いてみると、通りがかりの人が教えてくれた方向にとてもよく似た名前のホテルあるそうでした。

ホテルまでの途中、スーツケースを引いて歩いていると、Gパンの右尻ポケットに何か当たったような感触があり、振り向くと小柄な男が私のスマホを持って立ってました。
ゲッと思って睨んでいると、落ちましたよみたいな変な英語でスマホを差し出したので引ったくると、気をつけてねと言って歩き去りました。
スーツケースの車輪の音があったにしろまったく接近に気がつかず、ゾッとしました。
これがスリか〜気をつけなければと思い、それからは注意していたつもりが3日後に
グラナダでやられてしまいました。(涙 …)

翌日、SIMを買うのにVodafoneの店をフロントで聞いたら、どこも閉まってるで〜と言われてビックリ、日曜でした。
朝から雨で特に行き先を決めていなかったので、とりあえず、その翌日に予定しているジブラルタル行きのバス乗り場を見ておこうと行ってみたら、LebaraというSIMを売っているちょっと怪しげな(?)小さな店がありました。
(後で調べると、LebaraというのはVodafoneを使っているちゃんとしたMVNOでした)
英語が通じず説明がわかりにくかったですが、iPhoneSEに3GBデータのみのを入れてもらい€15。
インターネットなどスマホの動作は正常だったんですが、iPadにテザリングしようとしても繋がらないので店に戻って説明すると、これではできないよ、€40の別のならOK(らしい)。日本でもテザリング有料というキャリアもあり、とりあえず納得。
翌日のジブラルタル行きバスの到着地にVodafoneの店があるようで、そこでもう1台分を購入することに。

市内を歩いているうちに雨が止んで、雨上がりのきれいなコンスティテュシオン広場
(Plaza de la Constitución de Málaga)がありました。

この広場に面したカフェでビールを飲みましたが、店の名前は覚えてなくてビールの写真だけが残っています。

少し歩いて、どなたかのブログにあった BODEGAS(ワイナリーの意) EL PIMPIへ。
  

いっぱいの人で、なんとかカウンターを確保してビールと料理を楽しみました。
バルへ入ってお店の人の注意がこちらに向くと、覚えたてのスペイン語で
Dos cañas (ドスカーニャス=ビール2杯)
と言うと、写真のおじさんが飲んでいるサイズのビールが出てきます。
丁寧に言うには por fabor (ポルファボル=please)を付けますが、ドスカーニャスと言った途端にOK!とか言われるので、うまく続けられないことがほとんどでした。

さっきのカフェでは同じ言葉で頼んだのにグラスが違います。値段も違ったはず。
ネットの情報では、caña (カーニャ)が小さいグラス、cerveza(セルベサ)が大きいグラスと理解していたんですが、お店によって違うみたいです。

バルでは飲み物を注文すると、小皿に入れたタパスというおつまみが付いてきますが(全てのバルではありません)、このお店はメニューがあって料理として注文します。
カウンター内のお兄さんにオススメを3皿頼んでみんな美味しかったんですが、いつものことながら写真を撮るのを忘れました。
ビールに付いてきたクラッカーは、なぜかバッチリ写してます。

丘の上にマラガの砦(Alcazaba)がありました。

上まで行くとマラガ港が一望できます。坂がけっこうキツイですが、丸亀城よりマシ。

闘牛場も見えます。

街中でツーリング仕様(?)のタンデムを見かけました

あと、ピカソ美術館やピカソの生家の美術館へ行きましたが、日曜でどこも無料。 

夜は、ホテルに近いバルへ

この店では、ビールを頼むとタパスが付いてきます。写真のは別に頼んだのでたくさんありますが、無料でついてくるのはこれに似たようなのがビール一杯に一個。
毎晩ホテルへ帰る前にこのバルへ寄ってました。
要するに、一日中バルやカフェでビールばっかり飲んでいたわけです。
 

明日は、日帰りで、ジブラルタルへ行きます。
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スペインへ行ってきました

公開:2018/10/26
編集:2018/10/30

10月中旬にスペインへ行ってきました。
旅行中は3日くらい雨でしたがほとんど快晴、気温は大阪と同じくらいですが湿度が低く、日差しが強くても日陰に入るとカラッとして汗ダクになることはなかったです。
ただただ残念だったのは、アルハンブラ宮殿へ行った日が本降りの雨でした。
予約時にナスル朝宮殿(Nasrid Palaces)への入場日時が決まるので、どうしようもないです。この予約はいろんな意味で厳しいですが、詳しくはグラナダに関する記事で …

旅行は当初9月初旬の予定で、関西空港の台風被害でツアーがキャンセルになったんですが、運営する関西エアポート(株)のリスク管理のアホさには呆れました。
タンカーが連絡橋にぶつかったのは別の話ですが、人工島で変電設備を地下に置くか?
福島の原発が、ハリケーン対策しか考えていないアメリカの基本設計通り、非常用ディーゼル発電機を地下に置いてあったがためにあんな大事故になったのに。
島内に関西電力所管の20,000Kwの自家用ガスタービン発電機が2基あり、燃料の備蓄も1週間分、変電設備が生きていればエアコンの落ちた真っ暗な中で旅客が長時間放置されることもなかったはずだと思います。
(発電設備は20011年から(株)関電パワーテックが業務を受託)

橋桁が撤去されて途切れた関空行きの車道

グチはこのくらいにして、スペインに住んでいる人のブログでは4月と10月がオススメとのことで却って良かったと解釈して、マラガ(Málaga)+ジブラルタル(Gibraltar) ➡︎
グラナダ(Granada) ➡︎ コルドバ(Córdoba) ➡︎ マドリッド(Madrid)+トレド(Toledo)を巡った様子を順次まとめる予定です。

(スペイン旅行の文中のデータは、すべて2018年10月中旬のものです)
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ドラッグナイフ

編集: 2018/07/06

ドラッグといっても、怪しいドラッグではありません。

怪しい方はDrugで、ここで言うのはDragです。
Dragは引きずるとかいう意味ですが、紙やフィルムを切抜くブレードが自由に回転し、かつ刃先が回転中心から少しズラしてある刃物をドラッグナイフといいます。

イメージとしては左のようなものですが、刃先を回転中心からズラしてある(=オフセット)のがミソで、方向変換しても刃先が回ってうまく切れるようになっています。

調べてみると色々な形式があって、カッターナイフの刃を折って付けたような大きいのもあります。
原理が分かって、作ってみたいなと以前から思っていたんですが、刃は?、回転するように
取付けるには?など、具体的なアイデアが浮かばず忘れていました。

暇な時に(たいがいヒマですが) eBayを見ているとカッティングプロッタという製品が何種類かあって、交換部品として「ホルダー+ブレード3種類各5本セット」というのを見つけました。ローランドDGの製品用となっていましたが、¥600弱の驚異的価格に思わずポチッと注文!

フィルムの厚さやカットする文字や図形の細かさによってブレードを選ぶようです。

とりあえずスピンドルに取付けられるように、ホルダーの頭をø6に削って;

アップルマークを切り抜いてみました。

切り抜くシートは「エーワン手作りステッカー 29421」を使いました。
本来は白地のフィルムに印刷して保護フィルムを貼るタイプのものですが、白地のままでアップルマークを切り抜いて不要部分を取り除き、保護フィルムを貼ってハサミでカットしたものです。
写真は、キャビネットに貼ったものですが、保護フィルムがかすかに写っています。
りんごのカットがキレイでないのはシートの固定がうまくいってないのか、刃がしっかり保持されていないのか … 課題です!
カッティングプロッタの場合は、プリンタのようにシートが動くんじゃないかなと思っていますが、現物を見たことがないので分かりません。
ただ、シートはプリンタのように出てくるだけでなく、戻る方向へも動く???

 

何だかしっくりこないな〜とebayを見ていると、他にもホルダーがありました。
替刃なしで、最初のと同じくRoland用となってましたが、形状・寸法が違います。
コンパクトで、スピンドルに取付け易そうなので注文しました。

前のもそうですが、けっこう凝った加工をしてあるのにナンで?という低価格です。

部品を外すと;
–  先端のキャップ(黒いプラスチック)
–  ホルダー本体
–  ナット(高さ調整、多分)
–  後ろのキャップ(高さ調整ナットのロック、多分)

ホルダー本体をバラしてみると、下のような部品が入っています;
右側の丸棒は、ブレードを交換する時に押出すためのもので、無くても構いません。
真ん中の黄色いのは、真鍮パイプにブレード後端のテーパ部を受けるベアリングと抜け落ち防止のネオジム磁石(強力!)が入っています。

ホルダーにブレードを挿入したところ;
先端には内径2mmのベアリングが入っていて、ブレードの外径が1.95mmなのでわずかにガタがあります。

最初のはホルダーを加工してしまったので、これは手を加えないでスピンドルに取付けられるようにアダプタを作ります。(固定の押ネジのための面加工だけしておきます)
アダプタにホルダとø6ピンを入れて押ネジで固定し、スピンドルに取付けます。
 


押ネジを加工してスピンドルに取付けたところ:
カットするときは、スピンドルモータのコネクタを外しておきます。

数少ないフォロアー(!?)から、このところ投稿が無いという声をもらったので、とりあえずアップしました。
これからいろいろカットしてみましょう。

追記:
切り抜くシートをどう固定するか考えていたんですが、思いついて1mm厚のシリコンラバーを敷いてみました。
表面の摩擦が大きく、押さえられた時には更に滑りにくくなり大丈夫そうなので、直径90mmの丸いシールを切り抜いてみました。深くカットしても刃先がシリコンラバーに食い込むだけなので、ベースの表面精度もカバーしてくれます。
カッティングプロッタの製品もゴムローラとかで受けているのかもしれません。

下の左側はカット完了の状態。上下左右の黒いのは位置合わせの手書きマーク。
右側は、切り抜いた丸とその残り、シリコンラバー、ベースのアクリル板(黒)です。
念のため四隅をセロテープで止めましたが、ブレードが動いて行く時にシートがシワになったりすることもなく、きれいにカットできました。
送り速度は400mm/minですが、もっと早くてもいけそうです。
  

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うどん遍路 2018

編集: 2018/05/08

香川県の讃岐うどんの店を巡るうどん遍路に行ってきました。
ほぼ毎年行ってますが、今までは栗林公園や金毘羅さん、丸亀城などの観光地を回っていたので、うどん店は2日でせいぜい数軒というところです。
今回は文字通りの”うどん遍路”にして、今まで行けなかったお店を含めて10軒を予定しましたが、1軒が休みだったので実際には9軒です。
大阪から山陽道〜瀬戸大橋を渡って坂出で降り、ほぼ予讃線に沿う経路でうどん店を巡って高松市内ホテル泊、翌日は南寄りのコースで戻って坂出市内ホテル泊です。
3日目も午前中坂出近辺のお店へ行こうと思ってましたが、急用のため朝早くにホテルを出て帰ってきました。
渋滞にはほとんどかからず、全行程590Kmで燃費は12.6Km/L(高速は 約15Km/L)。

ちなみに、瀬戸大橋というのは岡山市と坂出市をつないでいる10ヶ所の橋の総称だそうで、本州と四国を結ぶ3ヶ所の橋群のうち唯一の鉄道も通る橋です。
よく写真で見る大きな吊り橋は北備讃瀬戸大橋と南備讃瀬戸大橋で、走る度にこんなものをよく作ったなと感心します。岡山側から最初の下津井瀬戸大橋も吊り橋で、ほかの橋は斜張橋やトラス橋です。詳しくはWikipediaなどで …

左が下津井瀬戸大橋、右が北備讃瀬戸大橋で橋脚がデカイです。
   

1日目:

① 日の出製麺所 (坂出市、今回初めて)
営業は11:30〜12:30の1時間で、11時過ぎに着いたらすでに40人くらい並んでいました。ネギはハサミで切ってくださ〜いと言われます。

② がもううどん (坂出市、必ず行くところ)
ここは外せませんが、後継者がいなくていずれ店を閉めるという噂を聞きました。

③ 山下うどん (坂出、2回目?)
定休日ではないはずですが、振替で休みでした、残念

④ 手打ちうどん山下 (高松市、初めて)

⑤ 宮武(みやたけ)うどん (高松市、2回目?)

2日目:

⑥ ひさ枝(ひさえだ) (高松市、初めて)
前日夜に高松のバーで教えてもらった比較的新しいお店、朝7時からやってます。
木材団地の倉庫を改装したとのことで、店内はとても広いです。

⑦ 池上(いけがみ)製麺所 (高松市、初めて)
“るみばあちゃん”で有名でしたが、今はお孫さんが経営されているそうです。
四国新聞社の資料写真は昔のお店だと思います。

⑧ 山越(やまごえ)うどん (丸亀市、何回か)
店内というか広い中庭にたくさんテーブルがあります。

ここはとんでもなく混んでいて、まさに長蛇の列!入り口まで1時間弱かかりました。
写真では単純な行列に見えますがジグザグに並んでいるので、一列にすると見えてる長さの5倍以上でしょう。お店の入り口は信号を左へ折れてさらに40mくらい先です。
帰る時には行列がさらに長くなってました。

⑨ 宮川製麺所 (高松市、2回目)

⑩ なかむら (丸亀市、何回か)

ダシ、麺の打ち方(コシ)などにそれぞれのお店の特徴がありますが、どのお店もとてもおいしいです。人類は麺類というキャッチコピー(日清食品?)を思い出しました。

行ってみようと思ったら、まず、四国新聞社の資料がいいと思います。
あとはネットで検索するといろいろ出てきます。例えば、丸亀市内で早朝からあいているうどん屋というようなページも見つかります。
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CNCフライス(8) ワークテーブル改良

編集 2018/4/30

機械本体の説明の記事にも書きましたが、ワークテーブルのT溝の底に本体フレームと補強材を止めているボルトの頭が見えていて、切粉が引っかかってTナットがスムースに動かなかったりして困っていました。
本体フレームごと作り直せばいいんですが、費用の問題もあるし、そこまでしなくても何とかならないかと考えて、薄板を挟むことにしました。

写真はすでにワークテーブルを外した状態ですが、取り外す前に手元にあった1mm厚のアルミ板(300×200)2枚にワークテーブル取付ボルトが通る穴を加工しておきます。
ベースプレートは300×445ですが、全面を覆う必要はないのと300mm以上はずらさないと加工できないので2枚を合わせることにしました。

ワークテーブルは外すとバラバラになるので、組み戻しできなければ最悪作り直すことにして、バラシをスタートします。
取り外すと、幅の広いのが5個、両端の狭い幅のが2個になります。

汚れをキレイにして、アルミ板を挟んで組み立てます。

  

まず、中央の1枚をX方向にピックテストを走らせて平行を出して固定します。隣の部品はø5ピン(h7)に0.01mmのシムを挟んで押し付けながら、端面のX方向の位置を揃えて固定します。残りの部品を同じように組み付けていきます。
0.01mmのシムを挟んで合わせることで、溝幅はH7〜H8相当になるはずです(!?)。

X0〜100あたりに加工してあったø5ピン穴(加工時の位置決め)を正確に元どおりに揃えるのが難しいため、各部品を180°回転して取り付けています。
このため、X300 Y300に近い今までほとんど使っていない部分(T溝幅がわずかに狭いのに目を瞑っていたあたり)がX0 Y0 付近に来ました。
全部品を固定した後に、ピックテストで確認しながらT溝の幅を削正します(ズレは1/100程度)。

取付ボルトの穴に1mm厚ゴム板をø8の皮ポンチで打ち抜いたもので塞ぎ、面出しをして出来上がりです。
アルミ板の端は何も押さえるものがないので、皿ビスで固定します。

位置決めに使っていたピン穴はø5皮ポンチで打ち抜いたゴム板で塞いであります。
また、ワークテーブルの長さを両側5mmづつ削って290mmにしました。
何ヶ所か、Zの設定を間違って削り込んだ跡が残っています。
位置決めピンは今後必要に応じて追加工します。

T溝の底は、当然ながら、気持ちよく(!)きれいになっています。

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iPhoneSE ケース

編集: 2018/05/08

以前に自作自慢の掲示板 に投稿させてもらいましたが、アクリル樹脂でiPhoneSEのケースを作りました。


上の写真は最初に作ったタイプで、アクリル板を彫り込んだものを接着してiPhoneを上から差し込むようにしています。形状を工夫して何度も作り変えたんですが、スッポリ抜け落ちそうで心配でした。
 
いくつか作っても、側面の音量調節と消音のボタンのために写真のように削ってあるのは同じです。

抜け落ちを心配しつつ使っていて、よく行くバーのマスターにその話をしたら、ボタン類を外から操作できるようにならないの?という助言(ほとんど強制?)がありました。

それは無理やろ〜と思いつつも、何日か考えて部分的に試作したりして行き着いたのが、今の全閉型(!?)バージョンです。

8mm厚アクリル板で、まず外側をCADデータから切削データに落として加工します。

これをひっくり返して内側を彫り込んで外形をカットすると、切削は完了。

たくさんの丸穴は放熱用(効果は不明!)、アップルマークはiPhone背面のマークが見えるように、他の穴はカメラやホームボタンです。
組んだ時にストラップを通せるように、左右の肩の部分に溝を入れてあります。
組み合わせるためのネジ(9ヶ所)は裏側から止めるようにして、表側はø1.1ドリルで下穴を明けてタップ加工します。
スイッチ用の上や左右の穴は、表裏をネジ止めしてバイスで保持して加工します。

スイッチ類は別に加工したものを嵌め込みます。上の方に見えるのはSIMトレイを引き出す穴のカバーです。最初はなかったんですが、SIMを入れ替えるのにケースをバラさないといけないことに気がついて、追加工したものです。
スイッチ類は小さくて削る時に固定するのが難しいんですが、CAMソフトでタブ加工というのができるので、思ったより簡単に作れました。

部品と母材をつないでいるのがタブで、タブを切って不要なところを削ります。

消音のスイッチは、iPhone側の出っ張りと合うように裏に溝を入れます。

表側にiPhone本体とスイッチ類を嵌め込んで裏側をかぶせ、M1.4のネジで固定すれば完成です。

このネジは、お世話になっているねじの松喜でもさすがにバラ売りは無く、100本入りが一箱972円でした。あと9個は作れます!

CADで図面を作る時にAppleの資料(Accessory-Design-Guidelines.pdf)を参考にしましたが、外形寸法は公差が案外大きく、例えば、iPhone SEでは、高さは123.83±0.2、
幅は51.70±0.2、厚さは7.60+0.25, -0.20 です。

最大公差に合わせて作るとガサガサになる可能性があり、内側の彫り込み加工は最終的に実物の寸法を測って決めました。
市販のケースは、ほとんどが伸縮性のある素材を使っているので公差範囲をカバーできるのでしょうが、アクリル樹脂では無理です。

もしも誰かに作って欲しいと言われたら、柔らかい素材を内側に貼っておくなどの対策を考えないといけませんね。
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車の話:車検 -1

編集:2018/03/12

愛車も丸11年となり、走行距離は仕事に使っていた頃とは比べ物になりませんが、約83,000キロとなりました。
車検も5回目で、ずっと車を買ったディーラーでお願いしていたんですが、今回はどこか技術の確かなところへお願いしようと考えていました。
その理由は;
前回(2016)の車検直後に旅行に行った時、帰りの朝にエンジン始動後にゴロゴロというような異音がするトラブルがありました。
3月で、岐阜県の奥の方の温泉地だったんですが、大阪へ帰ってきても朝一番に音がして、5分くらい走ると消えていました。ディーラーに預けて調べてもらい、エアコンコンプレッサのベアリングが傷んでいたので交換、修理完了ですと車を届けてきました。

しかし直っておらず、翌々日だったかサービスマンが代車と入れ替えに取りにきました。
その時にふと気がついて、朝一番(車体が冷えている時)にしかならないから建屋内じゃなく屋外の駐車場に置いてチェックしてくれと念を押しました。
その後、「いろいろ調べたけど再現しない」と連絡してきました。
外に置いていても朝イチに音はしないの?と聞いたら、ハァー?と言われて、こっちがハァーじゃ!と言いたかったところを我慢してもう一度説明し、屋外に置いてたら現象が表れ、結局オルタネータの修理となりました。
最初のコンプレッサの修理は何だったのかと、以前からよく知っている責任者にねじ込んだんですが、なんとかお願いしますと言われて大幅値引きで決着しました。

こういうことで、他所で頼もうと思っていたんですが良さげなところが見つからず、やむなく担当者を変えてくれと条件をつけて今回もディーラーへ出しました。
結論として、
担当者もメカニックも誰でも一緒という寂しいレベルでした!
例えば、
(1) 車をジャッキアップして、下から見た動画(のリンク)を送ってきました:
動画をお客さんに送るようにしていますと嬉しそうに予告(?)していたものです。
エンジン周りのどこそこにオイルの滲みがありますと、撮影者が喋りながら画面が動いていくんですが、指し棒があるわけでもなく対象箇所が全く不明。
担当は私ですというポートレートが動画画面の下にあるんですが、シャツの襟は折れ込んでいるし頭はボサボサ、良くいえば臨場感満載、ハッキリ言えば誰も注意せんの!?
(2) ブレーキパッドの残量(厚み)を言ってきました:
ブレーキパッドは、減る一方と思っていたけど、2年経つと厚くなるみたいです。
前回車検で10mmだったのが、今回は11.5mm! 測定誤差を考えても有り得ないでしょ。
指摘すると、測る場所が違うとか何ちゃらがカンちゃらと言ってました。
その他、いろいろ …

走行83,000キロで10mm残りというのはチョットおかしいですが、本当です。
勤めていた頃は会社借り上げとして出張に使って年間3万キロ以上乗っていて、以前の車は7年で約23万キロ走りましたがパッド交換は1回です。
自分一人で走っているのにブレーキダストを撒き散らすのは申し訳ないとの思いから、シフトダウンを多用してできるだけブレーキを踏まないようにしているためです。
山道のダウンヒルでも、よほどの急坂でない限り2速へ落とせばクリアできますが、前の車が減速するとしかたなくブレーキを踏むことはあります。
乗用車はほとんどがATだと思いますが、シフトダウンで減速する人は少ないですね。
ただし、ブレーキランプがつかないので、街中ではほとんどしません。

ATについて思い出したことがあります。
以前に一緒に仕事をしていた人が、車(軽四だったと思います)をスタートして徐々にATレバーをシフトアップ(といっても3段くらい)していたことがありました。
何をしているのと聞いたら各段のギアを順々に使いたいからと言ったんですが、それってATがやってくれてるんじゃないのと言ったら会話がなくなりました。
面白い人でした。向こうは、嫌な奴と思っていたでしょうね。

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車の話 : 車検 -2

 

編集:2018/03/12

いろいろあった車検を終えて、月曜日に代車と引き換えに愛車を戻しました。
その日と火曜日はそのままで、水曜日に出かけて帰ってきたときにナビのバックカメラが映ってないのに気がつきました。
映ってないというか、カメラの映像に切り替わらず地図画面のままということです。
マンション敷地内のガレージはあまり余裕がなく、いつもミラーと直視だけで入れていますので、月曜日はすぐに気づかなかったんだと思います。

だいぶ前から、ギアをRに入れても画像が出ない(=画面は真っ暗)ことはよくありましたが、地図画面のままということは初めてです。車検に出すまではいつになく機嫌よく(!)カメラの映像が映っていたので、何でかなと思いながらナビ本体をのぞいて見ました。
本体はグローブボックス下の奥のほうに取り付けてあるんですが、近くに吸音材みたいな綿毛状のものがはみ出していて、センターコンソールの助手席側にケーブルが垂れ下がってたんです。何じゃこりゃ〜!! (ちょっと古い?)

すぐにディーラーの担当者に連絡して、車を持ち込んで調べてもらいました。
結局、ケーブルは、車内清掃か何かの時にコンソールのカバーに収めてあったのが垂れ下がり、引っ張られて吸音材が見えてたということです。
バックカメラが映らないのは、バッテリーを交換した時にナビが初期状態になり、カメラを使うという設定が消えたからです。
前回のバッテリー交換時では再設定をしたのに、今回は忘れていたというお粗末でした。

要するに、詰めが甘いということで、全作業を完了した時のチェックをしっかりしていないのと、バッテリーを外すといろんなところが初期化されるだろうという想像をめぐらしていなかったということです。

想像力というのは、技術系に限らずどんな職種でも、仕事をこなしていくのに非常に重要な要素だと思います。

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CNCフライス(7) Z軸、スピンドル

編集: 2018/02/28 19:00

Z軸全景


Z軸上下機構

Z軸は、Y軸上を動くZベースプレートの上に組み付けてあり、スピンドルプレートが上下に動きます。

Y軸は、X軸と同じ機構でZベースプレートを動かしています。

スピンドルプレートは、Zベースプレートに組み付けたガイド部のスライドプレートに案内され、送りネジは ヒロスギネット で購入したM6精密ロングネジ(SUS303)を使っています。
スペースがないので台形ネジが使えず、M6寸切を使ったこともありましたが、精度や表面仕上げが悪いので上の製品を見つけて交換しました。
ナットはジュラコンから削り出して、X、Yと同じくダブルナットで与圧をかけています。

MDF材で作った最初の機械は全軸ともにスライドプレートが無く、アルミアングル(アルマイト加工)で直接MDF板をガイドしていましたが、フレームをアルミに変えた時に2mm厚のテフロンシートをカットしてスライドプレートとしました。
その後、XY軸はリニアガイドに改造しましたが、Z軸はスペースが無く当初のままです。

スライドプレートは、摩擦係数が低いとしてテフロンを選択したんですが、テフロンシートは大根の桂剥きみたいにして作るそうで、0.02~0.04mmの厚さムラがあります。
接着などができないので厚みを加工(両面)することができず、素材を寸法にカットしただけで使っていて、当たりが出ていないのがずっと気になっていました。

昨年、実際の摩擦抵抗を測ってみてあまり違わないのでジュラコン(POM)に変更し、片面を仕上げて皿ネジで固定してから厚みを仕上げるようにしました。
ただ、押さえの皿ネジは、強く締め込むと板が波打つので、わずかに押さえ込む程度でロックタイトで緩み止めをしてあります。

スライドプレートの両面を切削したので接触面が均一に当っているようで、加工精度が上がったような気(!?)がします。

ガイド部は、スライドプレートを取り付けたL型のアングルブロックと押さえ板で組んでいます。
アングルブロックはZベースプレートに、押さえ板はアングルブロックにボルトで止めてありますが、押さえ板にはアングルブロックのボルトが見える穴を開けています。
この構造で、スピンドルプレートの厚さ方向と幅方向のクリアランス調整を独立させています。
厚さ方向は押え板の取付面、あるいはジュラコン材の裏側ににシムプレートを入れて調整することにしていましたが、幸いシムプレート無しでピッタリでした。
幅方向の調整は、ワークテーブルY方向に対するスピンドル上下の鉛直度の調整も兼ねています。

摩擦抵抗を少しでも低くするため、スライドプレート表面にエーゼット CKM001を塗布してあります。
のオイルは各軸の送りネジにも使っていて、ダブルナットの与圧を強くしてもステッピングモータの負荷が小さくなりました。
それまでのオイルでは、寒い時期に電源投入直後にG0で動かすと脱調することがあったのが、まったくなくなりました、すごいです。

スピンドル

スピンドルは、当初の機械はベアリングをアルミアングルで支えているような簡単なもので、スピンドル自体も近くの鉄工所で作ってもらったものでした。
その後、10mmシャンクのER11コレットチャックに変更し、ベアリングブラケットを作り直しました。

さらに、THKリニアスライドSC16の内径がちょうど#6001ベアリングの外径(Φ28)に合うのに気がついて、コレットチャックを12mmシャンクのものに変更し、ベアリングケースにしました。


左が10mmシャンク(#6000)の旧タイプ(コレットチャックは抜いてあります)、右が現在のSC16+12mmシャンク(#6001)です。
12mmシャンクのER11コレットチャックは、シャンクに8mmくらいの通し穴があるので、長いエンドミルやドリルを保持するのに好都合です。
長さは、ダイアモンドコッピングソーで比較的簡単にカットできました。

eBayで購入したのでテーパ部の振れ精度などがでしたが、TIR 0.01以内に収まっています。
同じくeBayで買ったコレットはスリ割の仕上げが酷く、ダイアモンドヤスリで仕上げないと使えなかったんですが、振れ精度はとりあえず使えるレベルでした。
コレットは結局、
イスカルの6mmをモノタロウで購入しました。
eBayなら10個以上買える価格でしたが、精度は言うことなしです。

小径のエンドミルやエンドミルシャンクドリルを使うため、大昭和精機のストレートコレット(外径Φ6、内径Φ3とΦ4)も購入しています。
1/8″(Φ3.175)のコレットが欲しいのですが、いいのが見つかりません。

THKリニアスライドSC16は、長さがそれまでの自家製ベアリングホルダとほとんど同じで、モータブラケットやZ軸送りステッピングモータなどをいじることなく入れ替えることができました。
下図はスピンドルの断面ですが、上下のベアリングの内輪間にスリーブを入れて、円周4ヶ所の皿ネジ+ローゼットワッシャでベアリングの外輪を押さえています。


スリーブは、ベアリングの幅とベアリングケースの幅から長さを決め、適当な与圧がかかるように摺り合わせをしています。
まともな設計なら外輪側にもスリーブを入れて与圧を合わせるんですが、ベアリングケースの上下面が平行であると期待して(!)手抜きをしています。

下の写真は、上面のベアリング押さえネジ(スペースの関係で4ヶ所)と、回転数検出の光電センサ、反射シールを貼ったカップリングが見えます。

下面にLEDと配線を埋め込む溝を加工して、運転中はエンドミルなど工具の周囲を照らすようにしています。

下の写真は真下から見上げたもので、下面にLED保護のために2mmの透明アクリル板を取り付けてあります。

切粉カバーと吸引装置

加工時の切粉(キリコ)は、特にケミカルウッドやコーリアン樹脂の場合は非常に細かいので、何らかの方法で収集しなければなりません。
オリジナルマインドでブロワファンMBD10-24Aというのがあったので、アクリル板でケースを作り、市販の掃除機用紙パックが使えるようにしました。

モータ取付部分をいじっているうちに壊れた(壊した!)ので、24VDCモータに替えてあります。
ダクトはホームセンターで買ったものです。

スピンドル側は、取り外しできるようなスカート状のカバーを作りました。
8mmのアクリル板で形を切り出して2mmの溝を入れ、カッターに巻き込まれない程度の幅に切ったクリアファイルをゴム板で押し込んで、写真のように適当な間隔で切り込みを入れてあります。
アルミやアクリルもそこそこ吸い込んでくれて、傷んだら簡単に交換できます。

 

ブロワファンはけっこう吸引力はあるんですが音も大きく、加工中は切削音より吸引装置の方がうるさい状態で、電源のトリマーで電圧調整して必要最小限にしています。

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CNCフライス(6) ワークテーブル、X軸、Y軸、Motor Tuning

編集: 2018/02/27 17

機械全景

左右方向がX軸、前後方向がY軸、スピンドル上下がZ軸です。
いわゆる門型で、スピンドル(Z軸)を含むY軸の構造部が動くタイプです。
フライスにはワークテーブルがXおよびY方向に動くタイプ(立型、竪型とも)もありますが、立型はY方向の動き(フトコロ)が大きく取りにくいのとX方向にストロークの2倍以上のスペースが必要なので、採用しませんでした。

最大加工範囲は X300 x Y300 x Z70ですが、X方向はもっと長いものも取り付けることができます。
左端に見えるのがX軸のステッピングモータ、Y軸のモータはスピンドルの向こうに隠れて見えません。

奥に見えるのはプラスチックなどの静電気対策の除電装置で、スピンドルの上に見える赤いクリップはZゼロ点検出のアース側ケーブルです。

アルミ素材は、一部を除きオリジナルマインドでA5052またはA2017(ジュラルミン)を寸法指定で購入しました。
大きさにもよりますが 300mmくらいまでだと、寸法公差 ±0.1 程度の4F加工で送ってもらえます。
 平行・直角は0.03mm程度で仕上がっていて、部品によっては外周加工なしで使えます。

以下の説明はこの機械に限ったもので特殊なこともあるので、あくまでも参考としてください。

ワークテーブル

図はX軸+方向から見た断面で、Y軸は右が+になります。
X軸送りナットを取り付けている板(クロスビーム)がリニアガイドで支持されていて、その両端にY軸機構を支えているコラムが載っています。
Y軸リニアガイドにZ軸機構が載って左右に移動しますが、図では省略しています。

アルミ材に変更した当初はワークテーブルが無く、本体フレーム上面にタップを立ててワークを固定していましたが、位置の自由度が低く固定が面倒なのでワークテーブルを追加しました。

ワークテーブルのT溝は専用カッターで加工したものではなく、下図のように12mm厚のアルミ板に10mm幅の溝と取り付けのボルト穴を加工して反転し、本体フレームに取り付けたのち5mmの溝を加工したものです。
この構造のため、ワークテーブルは取り外すとバラバラになるので、作り直すときでなければ解体できません。
なお、ワークテーブル上面に出るボルト穴は、キャップボルトの座繰りを少し深くしてシリコンラバーなどを打ち抜いたものを入れとかないと、切粉の掃除が面倒です。
失敗したのは、本体フレームの断面を見てもらうと分かりますが、ワークテーブルを載せているフレームとその下のビーム材を固定しているボルトが、T溝のラインと合ってしまったことです。ここに切粉がたまって困っていますが、座繰りの深さが十分で無く(組んだままで追加工ができない!)、ワークテーブルを作り直すかどうか思案中です。

真鍮材でT型ナットを作り、ワークの取り付けが楽になりました。また、5mmのピンを立てて当たりにすれば、ダイアルゲージなど不要で簡単にワークをX軸に平行に置くことができます。

X軸、Y軸

ストロークは310mmで、ワークテーブルの大きさをカバーしています。
送りネジは30度台形ネジΦ10 ピッチ2mmで(オリジナルマインド自作用部品)、
軸端をΦ6に加工してあり、ネジ(M6細目)が切ってあります。
ナット(MCナイロン)も同じですが、いずれも現在は販売していないようです。

X、Y、Z各軸の送りネジの端を支えているベアリングはすべて606ZZ(内径6mm 外径17mm 幅6mm)で、ベアリングケースは厚さ12mmのアルミ板です。
ベアリングケースの形は図の通りですが、X軸はX+側、Y軸はYー側を支持しています。(Z軸はちょっと違うので別記事で説明)

ボールベアリングは与圧をかけて軸方向の遊びを抑える必要があり、次の要領で取り付けます;
 - ベアリングケースにはベアリング押さえのタップ(M3、両面)を加工(Y軸)
 - ベアリング内輪にシム(下図の赤色部分)を挟んでナットを締め、ケースに仮組み
   市販のアルミ板の厚さはプラス公差なので、シムは0.1mm程度を入れてみる
 - 片側のベアリング押さえのM3ボルト+ワッシャを締め込む
 - 反対側のM3ボルトを締めて、ネジ軸を回して軽い抵抗を感じるようならOK
   > 締める前と同じような軽さの場合は、シムを厚く
   > 抵抗が重い場合は、シムを薄く

X軸のベアリングケースは図のよう加工し、内側にプレートを挟んでベアリングケースを本体フレームにボルトで固定するので、ケースの段加工の深さで与圧を調整する形になっています。

下の写真はY軸の実際の状態。ベアリングを押さえているネジは裏側も同じものです。
皿ネジ+ローゼットワッシャを使っていますが、スペースがあればキャップスクリュウ+平ワッシャなど何でもいいです。
ただ、トラスネジは座面の直角が出ていないのが多く、使えません。
ナット兼用のハンドホイールを作りましたが、組み立て後はほとんど使っていません。

シムは、RCパーツとして TAMIYA SHOP で、内径基準(Φ3, 4, 5, 6, 10)で厚さが 0.1/0.2/0.3mm のセットを売っています。
MonotaRO (モノタロウ) で、ベアリングシムとして内径、外径、厚さそれぞれに豊富なバリエーションから選べます。
モノタロウは事業者向けですが、個人でも会社名を書けば登録できます。一般向けの IHCモノタロウ では、ベアリングシムは扱ってないようです。

X軸(Y軸も同じ)の送りナットは、クロスビームに固定したナットとフリーのナット間にスプリングを入れて、バックラッシュを抑えています。スプリングは必要な形式・サイズのものが、ばね通販のソテックで購入できます。

下図の左側のナットが固定、右側のナットはフリーです。スプリングは50N程度になるよう圧縮していて、これより強い負荷がかかるとネジの遊び分がずれることになりますが、あまり強くするとステッピングモータが脱調してしまいます。
バックラッシュはMach3の設定でも補正できますが、方向反転時に設定値だけ余分に動かすだけなので、機械精度を上げておくことが重要です。

今のところ、アルミ加工などで送り負荷が大きくなっても脱調することはありません。

送りのガイドは、最初はテフロン板を挟んだスライド式のものでしたが、後にTHKリニアガイド(中古)に変更しましたが動きが悪くなり、NSK LU15 0450-AL-K2-K6-1 (オリジナルマインド 未使用中古)に交換して使っています。
オリジナルマインドのページでは詳しい型番が出ていなかったのですが、現品は廃番になっているものの潤滑ユニットがついた上級グレードのものでした。

ステッピングモータ
両軸共に日本電産サーボ KH56KM2-901 (オリジナルマインド 未使用中古)です。
コネクタはMonotaROで購入できます。
他のモデルでもコネクタは同じみたいです。(11極のコネクタを一つ飛びに6極使用)

速度(早送り)を1200 mm/min に設定すれば、トルクは 600mN-m あまりとなります。
早送りは、普通は切削負荷がないエアカット状態がほとんどなので、現在は F1500 にしています。

組み立てたのちに、Mach3 で送り量などの設定を行います。

Motor Tuning and Setup

Config メニューから Motor Tuning をクリックすると上の画面になります。画面はX軸ですが、他の軸も同じです。

Steps per は単位長さを送るのに必要なパルス数で、
 = (モータ1回転のパルス数 ÷ 送りネジピッチ) ÷ マイクロステップ
で計算します。
モータ1回転が 200パルス、送りネジピッチが 2mm、マイクロステップ1/4 なら、400 となります。

マイクロステップを細かくすると計算上の分解能は上がりますが、メカとしての精度が良くなる訳ではないので、まず機械精度を上げておくことが重要です。
駆動トルクが低下するので実用的な値に留めておくべきですが、細かくすると動きが滑らかになるのでどちらを取るか悩ましいところではあります。また、マイクロステップを小さくすると、パルス生成のためにCPU負荷が大きくなります。
マイクロステップは、分解能としては1/2(=5μm/pulse)でもいいのですが、動きの滑らかさでは1/8くらいにしたいところで、結局1/4(=2.5μm/pulse)にしてあります。

実際の値が半端な数字になっているのはネジのピッチ誤差を補正したもので、Mach3 のマニュアル入力から指令した数値と、実際の移動量の差から計算しています。
例えばノギスを200mm に固定して、マニュアルで 200mm 移動させた時の差をピックテスト(てこ式ダイアルインジケータ)などで測定します。
実測値が 200.04mm だったとすると、補正後の Steps per は (200 ÷ 200.04) x 400 = 399.920 となります。

Velocity は、最大速度 G0です。プログラム中でこれより大きい値を指令しても(例えば G1 X200 F3000)、これを超えることはありません。

Acceleration は、加速・減速時の加速度です。50mm/sec/sec とすると、1500mm/min (=25mm/sec) に達するのに 0.5秒かかります。グラフは数値を変えると変わります。

次の軸へ移る前あるいはOKを押して終了する前に、 クリックしないと変更した数値は保存されません

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CNCフライス(5) Mach3 + 2010 Screenset

編集: 2018/02/27
校正、追記など: 2020/10/15 

Mach3 はCNCに興味がある人は誰でもご存知と思いますが、自作や市販機改造など多くのホビーユーザ(生産現場でも?)が使っているコントローラです。
音速の単位で知られているのでドイツ語読みのマッハと発音する人が多いですが、英語ではマーク[mɑːk]あるいはマク[mæk]です。

今はMach4が出ていますが、まだまだMach3は国内でもユーザーが多いのでネット検索で山のように情報が得られます。日本語バージョンはありませんが、ユーザーフォーラムは大規模なものでとても参考になります。
ライセンスを購入する前はトライアル版(Gコードが確か500行しか実行できない)として使えますが、ライセンス購入後は10,000,000行まで実行可能です。
また、操作画面の見かけを変えるのに有償無償合わせてたくさんのScreensetがあり、ソフトの知識があれば自分で画面を編集できるようにもなっています。

私は、ツールパス表示部分が大きいのと見た目がシンプルなのが気に入って、標準の1024.setではなく、最初から下のような 2010 Screensetを使っています。
ユーザーが増えてほしいと願っているんですが、国内には誰もおられないようです。
2020/10/15 追記:
ベンダーに聞いてみたら、日本で10人余りがライセンスを買っておられるようです。


上のツールパス画面は写真(jpg)をPhotoVCarveで生成したものですが、Gコードは約100,000行、加工に数時間かかります。

2010 Screenset のユーザーを増やすため(?)、主な操作・設定の説明をしておきます。
上の写真は運転画面(Run)ですが、他の設定は画面右側中央のRun〜Settingsのタブで切り替えます。

Run 運転

Cycle Start
= 加工開始
Feedhold = 一時停止
 読込み中の行を完了して停止
 スピンドルは止まりません
 Cycle Start で運転再開
Stop = 停止、スピンドルも停止


Feedrate Override % は、マウスで上下にドラッグすると速度調整ができますが、数字を打ち込んでも変えられます (最大値は250%)

Jog ジョグ (手送り)

Jog Mode = 動作の切り替え
 MPG (ペンダントなど)
 Continuous (連続)
 Step (設定量だけ)

Jog Setting = 現在の設定量
 Jog Speed (連続送り速度)
 Step Increment
(設定量)

いずれもキーボードの➕、➖ ボタンで増減、設定値は Settings タブで指定

キーボードからの各軸送りボタンは(Mach3基本設定のままであれば);
 X+ : ⇨  X-: ⇦  Y+: ⇧  Y-: ⇩  Z+: PgUp  Z-: PgDn

 
Tool Change 工具交換の設定
エンドミルなどを交換した時のZ軸ゼロを設定

Auto Zero Settings
 Plate Thickness = プレートの厚さ
 Clearance Plane = ゼロ点を検出して戻る位置

 

写真のようにセットして、メニューバーの  をクリックするとスピンドルが下がって±0.01 程度の精度でゼロ点を検出します。

クリックする前に必ず、プレートと工具をタッチさせて  のランプがになるのを確認します。
タッチした時に導通が無いと
、工具を破損する可能性があります。

プレートは、写真のようにアクリルなど絶縁体の上に金属板を載せたようなもので、タッチしたときに変形しないように作ります。

プレート底面(=加工物の上面) が Z 0 になり、Clearance Plane (上の例ならZ 20) まで上がって停止します。

Tool Change と Probing を使うには、Mach3 の設定と、信号を入れるための電線+クリップが必要です。

Mach3 – Config – Ports & Pins – Input Signals – Probe の設定
パラレルポートの入力に使えるピンを設定 (13ピンを設定)

HobbyCNC ボードの入力は10kΩでプルアップされているので、13ピンとグランドへ配線するだけで使えますが、プレートが13ピン側になるので機械の金属部と接触しないよう絶縁する必要があります。
上の写真ではエンドミルをつかんでいるクリップがグランド側になります。
(クリップを付け間違ったので赤色になっていますが、直すのが面倒なので …)
エンドミル側はグランドにつながっていますが、不安定なので、必ず基板のグランドから引っ張ってこないと危険です。

ワークにプレートを載せ、アイコン  をクリックすると;
 下降 250mm/min > 通電確認 > 2mm上昇 > 下降 25mm/min > 通電確認 >上昇
という動作で、工具先端がワーク上面(ゼロ点)からClearance Plane の値まで上昇します。
マクロ(M889.mls)を編集すれば速度などは変えられます。

Settings ジョグ速度の設定

Jog % Inc. = 早送り速度(G0)に対する%
Jog Step Increments =Step送りの単位で、各軸のボタンを押すごとに進む量

 

それぞれ5段階の設定で、− ボタンを押すごとにサイクリックに変わります。

Options

Optionsタブの Simulateで、ピッタリではないですが、加工時間の予想ができます。

Probing
これらの他に、Probingという画面があり、ワークのXY平面上の位置を読み込んで原点出しに使うことができます。円柱状のワークの中心、丸穴の中心、ポケット加工の中心なども読み込めます。
便利に使えるので、詳しく説明しておきます。

メニューバーの Probing アイコン をクリックすると、下の画面が現れます。

例えば、スピンドルにプローブとして6mmのロッド(エンドミルのシャンクなど)をセットしてグランド側のクリップでくわえておき、ワーク側を13pin側のクリップでくわえます。
ワークが本体と絶縁されていれば(=両面テープで固定されているなど)、13pin側のクリップをワークに当てておけば問題ないですが、金属製のクランプなどで固定されている場合はちょっとしたアダプタみたいなものが必要です。
ワークがアクリルなど絶縁体の場合も同様です。

 

下の写真は、左がエッジ用、右がコーナー用です。コーナー用はエッジ検出にも使えますが、ワークによって使えない場合があるので、エッジ用を別に作りました。
   

いずれもアルミ板にアクリル板を接着して削ったものです。コーナー用のアダプタは、L型の両方が同じ寸法になるように加工しておかなければなりません。
いずれも、Tool Change のプレートを兼ねることもできます。
上の写真に描き込んである部分(赤色矢印)の実寸法を

に入れておきます。アダプタを変えたときには、忘れず変更してください。

コーナーの測定は、すべて時計回りに動きます。
  >   =  X軸がに動き、その後Y軸が
  >   =  Y軸がに動き、その後X軸が
  >   =  Y軸がに動き、その後X軸が
  >   = X軸がに動き、その後Y軸が

  > 円柱の場合は Y+からスタート、Z方向にかわしながら、Yー、X+、Xー の順

注意点:
コーナー検出の場合は、プローブをコーナーから約38mm以内に位置させてスタートします。元の値が1.5 inch(38mm)ですが、それぞれのマクロを編集すれば変えられます。下の図は、 の動作です。

その他の入力は次の通り;

:プローブの接近速度

:再接近速度

:検出までの最大距離 (大きすぎても問題なし)

:アダプタを使用する場合のオフセット (上の説明参照)

:円柱測定の場合、移動時にZ軸を引き上げる距離

:スピンドル側につけたプローブ(ロッド) 外径

:測定後の退避距離


:プローブがスピンドル中心でない場合の距離 X、Y

:エッジ検出の際に、指定した距離で2回測定
(下の  参照)
数字がマイナスの場合は、2回目はその軸のマイナス方向へ動く
円柱測定の場合は、直径以上の値を入力 円柱の芯出しは=>

:測定後にエッジあるいはコーナーの座標をゼロにセット
Probe Edge の場合はゼロにならず、Probing Results に座標が表示されます。

:誤ってプロービング動作に入らないようチェック

:チェックを入れると、エッジの2ヶ所を測定し、その軸に対する角度と2点の差を測定 (測定完了すると、チェックは外れます)

測定結果は、次のように表示されます; 
Probe X Pos 、Probe Y Pos = 最初に検出したエッジの座標
Edge Angle = 2点の差 (Edge dx/dy) と距離 (Edge Length) から計算した角度
Pocket X Length 、Pocket Y Length = ポケット測定の場合の各方向の幅
Edge dx/dy = 2点の差
Pocket X Center 、Pocket Y Center = ポケット測定の場合の各方向の幅の中心座標

ハンドコントローラ
ワークの位置決めなどをするのに、Config > System Hotkeys を使って矢印キーなどを設定しますが、フルキーボードは大きすぎて取り回しが悪いので、USB接続のテンキーパッドを使っています。
2010 Screensetでは、RunやJogなど画面切り替えするのにMach3のHotkeysでは割り当てできず、テンキーをカスタマイズできる「DressKey:簡単にテンキーをカスタマイズしよう」を使って簡易コントローラを作りました。
 <2021年2月20日追記:上のDressKeyのサイトは昨年閉鎖されたようです>
このソフトは、AutoHotKeyというスクリプト言語を使って入力を簡単にし、日本語化したものです(と書いてありました)。
ただ、理解が足りないのか一部の設定がうまくいかず、結局AutoHotKeyのスクリプトを作りました。
AutoHotKey はネット検索するとたくさんの使用例や解説があります。

無線接続のテンキーパッドもありますが、うまく設定できないという情報もあり、とりあえずはケーブル付きです。

Run = 運転画面に切り替え (Cycle Startではありません)
Jog F3 = ジョグ画面へ
Step<>Cont = ジョグ時のステップと連続の切り替え
Tool = Tool Change 画面へ
Safe Z = Z軸の退避 (Machine Coordinate のゼロへ戻る)
P = 全軸の退避(Z – Y – X の順に原点へ戻る)
STOP = EStop

これら以外の、各軸の+、ーなどはMach3のHotKeysの設定です。使うときは、適当なジッパー付きポリ袋に入れてゴミ除けにしています。

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CNCフライス(4) ブレークアウトボード (BOB)

編集: 2018/03/11

Mach3の信号を受けて、ステッピングモータを駆動しリミットスイッチやフォトセンサなどの信号入力、スピンドルON/OFFの信号出力を処理するのがブレークアウトボードで、HobbyCNC PRO 4Axis キットを購入(部品は3軸分だけ)、半田付けして組み立てたものを使っています。
4軸全部のキットや、ステッピングモータを含めたセットもあります。
いったん販売を停止していたようですが、最近は完成品も売っていてユーザーフォーラムもあり、サポートはとても良いです。

キットを注文すると、下のような基板と必要なIC、コンデンサ、端子台などが送られてきます。

組み立ての順に写真付きで、英語ですがとても分かりやすい説明があります。

説明通りに組んで半田付けを完了すると、下のように完成です。
この後、ドライバICの放熱板(t3アルミ板)と、24V出力を利用して小さな冷却ファンを追加しています。(X、Yのステッピングモータが3Aのため)
ユニポーラ、2/4相、5/6/8ケーブルのステッピングモータがコントロールできます。
マイクロステップは、1/1 1/2 1/4 1/8 1/16 のいずれかを設定できますが、できる限り小さくしておかないとトルクが落ちます。送りネジピッチ 2mmとして 200pulse/rev のモータであればフルステップで 0.01mm/pulse になるので、1/2か1/4にしておけば十分かと思います。
マイクロステップを細かくすると計算上の分解能は上がりますが、機構上の精度が良くなる訳ではないので、まず機械精度を上げておくことが重要です。

入出力用に 10 11 12 13 15 ピンのコネクタがあり、10KΩでプルアップされているので使いやすいです。私の場合は、Mach3 プリンタポートからのDSUB25ピンコネクタを、次のように接続しています。
Index pulse (15pin – IN) : 反射型光電センサを使ってスピンドル回転数検出、表示
Tool Touch (13pin – IN): Tool Change のプレート側へ接続
Spindle ON/OFF (1pin – OUT): リレーを経由してスピンドルモータのオンオフ

Mach3での Config – Ports & Pins – Input Signals の設定

同じく Config – Ports & Pins – Motor Outputs の設定


最初は HobbyCNC EZ という3軸限定のものを6年以上使っていましたが、今は予備として置いてあります。
今のは、アップグレードキット(1軸追加のための部品)を買えば4軸にできるということです。

EZとPROでは、StepとDirが逆なので、Mach3の設定変更が必要です。
入れ替えた時に、半田付けをミスしたのかとパニックになりました。

Mach3からの信号でスピンドルモータをON/OFFするリレー回路と、各軸のホーム位置センサ信号をMach3へ入力する回路は、基板を作って追加しました。

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CNCフライス(3) CAD/CAM

編集: 2018/02/27
追記:2021/03/19

CAD
使いやすいものを選べばいいですが、私はCADintoshを使っています。
ドイツのベンダーですが、GraphicConverterなど数種類のMac用ソフトを出しています。
このCADは、仕事で使っていたUNIXベースのCADと操作が殆ど同じなので、全く違和感なく使えています。
インストールしたMacOSを日本語で使っていれば、完全ではありませんが、表示の大部分は日本語になります。
ちょっとしたバグがあっても、問題点を指摘すれば対応してくれます。

他にもMac用CADはいくつかありますが、CADintoshがもっとも安いです。

WindowsのCADもトライアル版でいくつか見ましたが、私には使えませんでした。
いずれにしろ、CAMが読み込めるデータを書き出すことができればOKです。

Fusion360という3D-CAD(CAM機能もあり?)がほとんどフリーで使えるようで、こういったホームページの図なんかもカッコよくなると思いますが、残念ながら使えていません。

CAM
残念ながら、Macで動くCAMはありません。

最初の1年くらいは、Mach3でなくTurboCNCというコントローラ(MS-DOS)を使っていたのですが、Gコードは手打ちで入力して結構勉強になり、Loop文が使えてGコードファイルが小さくて確認も楽でした。
TurboCNCはまだまだユーザーがおられるようです。

Mach3を購入してしばらくは付属のLazyCam Betaというなんとも恐ろしい名前(怠け者のベータ版?!)のCAMソフトを使っていました。
付属してくる状態では機能が不十分でライセンスを購入しましたが、たまにおかしな結果を出すことに注意すれば結構使えました。

その後、 VectricCut2D を使っていましたが、加工条件の設定(プランジ量の変更など)がより幅広い VCarvePro へ乗り換えキャンペーンを利用して変更しました。
日本語にも対応していてインストール時に選択できますが、よくできたソフトだと思います。
文字彫刻など、ビットさえ用意すれば、いろいろな加工ができる優れものです。
ライセンス料が今では結構高くなってしまいましたが、Pro版に加工範囲の制限(600×600まで)など少し機能を落としたVCarve Desktopというのもあります。
全てのソフトでビデオチュートリアル(英語のみ)がとても充実していて、英語が理解できなくても画面を見ているだけで分かりやすいです。
ユーザーフォーラムもいろいろあって、ちょっとした疑問があっても検索できて便利です。とんでもない質問も見かけますが、ちゃんと多くのユーザーがヒントを書き込んでくれています。これはMach3でも同じで、私も2、3回質問して教えてもらいました。

同社のPhotoVCarveというリトフェインができるソフトも使っています。
リトフェインというのは写真(jpeg)からデータを生成して、コーリアン(Corian®)などの4mm程度の板の表面を浮き彫り状に加工し、背面からの光で絵が浮き出るものです。
精細に加工するには1mmとかの細いボールエンドミルを使うので、ハガキサイズで7時間くらいかかることもありますが、誰かにプレゼントすると驚かれます。
カラーじゃないの?と言われたことがありますが、無理です。
リトフィンだけではなく、普通に浮き彫り加工できるので面白いソフトです。

なお、全てのVectricソフトは無償のトライアル版があります。

VCarveProとMach3はWindowsXPのデスクトップPCで動かしていますが、セキュリティーの問題があるのでネットには接続せず、CADintoshからのデータの受け渡しはUSBメモリです。WiFi接続するのは、アップデートをチェックする時だけです。
2021/03/18 追記
Windows10のラップトップに変更したので、データの受け渡しはiCloud経由で簡単になりました。==>

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CNCフライス(2) 構成

編集: 2018/02/15

全体の構成

CAD、CAM
 - CAD: LemkeSoft: CADintosh (MacBookPro)
 - CAM: Vectric: VCarvePhotoVCarve (WindowsXP)

コントローラ
 - Mach3 R 3.043.062 (WindowsXPデスクトップ、Mach3はパラレルポートが必要)
 - CADからのDXFデータ受け渡しはUSBメモリ

ブレークアウトボード (BOB)
 - HobbyCNC PRO 4Axisを使用
 - センサ入力やスピンドルON/OFFなど信号入出力の外部回路は自作

ステッピングモータ
 - XY軸:日本電産サーボ KH56KM2-901
 - Z軸:オリジナルマインド 42mm(型番なし)

リミットスイッチ
 - X、Yのホームポジションのみに透過型フォトセンサ取り付け

スピンドル
 - ER11コレットチャック
 - DCモータ直結 約6,000RPM (回転数検出に反射型フォトセンサ取付)

電源
 - ブレークアウトボード用: スイッチングレギュレータ24VDC/150W
 - スピンドルモータ用: 同じですが別系統にしてあります

大まかに分けると上のようになり、詳しくは、順序が前後するかもしれませんが記事を分けて書いていきます。

今後、各ページの内容を修正することがあります。

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CNCフライス(1) 作ってみる

編集: 2018/02/23

CNCフライスは、“自作”、”CNC”などで検索すると中国製のキットや小型の汎用フライスをCNC化している例が多いですが、長野県岡谷市の株式会社オリジナルマインド
から、まさにオリジナルの数種類のキットが出ています。国産キットは、この会社だけと思います。

同社でキット、コントローラ、Mach3などのソフト(ライセンス代行)、工具など必要なものを購入すればすぐにでも何か作ることができ、サポートも対応が丁寧です。
さらに、材料やオリジナル部品、中古部品なども販売していて、自作ユーザーにはありがたい存在です。

また、自作自慢の掲示板 というサイトを参考にさせてもらっています。
中身は「自作自慢の掲示板!」「挨拶雑談掲示板!」「何でも質問掲示板!」の三つに分かれています。
厳密な区分はありませんが、質問やこんなの作りましたというようなことを投稿すれば、いろいろヒントをもらったりできます。
特定のソフトやメーカーに偏らず、汎用フライスをCNC化したユーザーも多く気軽に投稿できるのでお勧めです。
投稿内容からいろんな発見があり、運営されている方にはとても感謝しています。

もう一つ、たまたま近くにあったのが幸運だったんですが、ねじの松喜という会社があります。
一般的なボルト、ネジ、ピンなどはたいがい在庫していて、1本(!)から買えます。
特殊なものは取り寄せてもらえて、家人の勤める会社に頼まれた銘板用のパーカーリベットも翌日には手に入りました。
ホームセンターなどでは数本単位で価格も高く、欲しいものがないことも多いので、ありがたい存在です。

私はメカの技術屋だったので、退職を機にCNCフライスを自分で設計・製作してみようと思いついたのが始まりで、削るものをあとから考えるという変わった(?)方向で始めました。
作り始めて数年は、設計変更した部品を加工して現在の部品と入れ替えるという、何十年も前に学校で習った「工作機械の歴史」をなぞるようなことを繰り返して楽しんでいました。

最初は下のようなMDF材で作ったペラペラのもので、単にXYZがプログラム通りに動くという程度のものです。
ボールペンを付けて、Gコードで四角や円など入力した形が描かれた時は嬉しかったのを覚えています。
寸法がきっちり出ているのと表面が滑らかなのでMDFを使い始めたんですが、早い話がとても分厚い紙(!)なので、剛性というのは全く期待できません。

スピンドルは、マブチモーターの一番大きいのをタイミングベルトで減速しています。

減速にはタイミングベルトやVプーリーなどいろいろ作ってみましたが、どうしても音が大きくて長く苦労しました。
今は、高トルクのDCモータ(eBayで購入)を直結することで解決しています。

余談ですが、
モータ軸にコレットチャックを直結したものがブラケット付きでeBayなどにたくさん出ていますが、モータ軸のベアリングは軸方向の遊びが大きくて切り込み深さ(Z)の精度が出ないので、浮き彫りなどの加工には使えません。

 スピンドルは近くの鉄工所で作ってもらったもので、エンドミルなどを押しネジで固定するものです(6mmシャンク限定)。送りネジはM6寸切、ガイドはアルミアングル(アルマイト仕上)でMDF材を直接押さえています。
このころは、アルミを削るのに 切り込み 0.05mm 送り80mm/min くらいで、切削量は現在の1/100くらいでしょうか。
ただ、送りネジの誤差をMach3の Config > Motor Tuning > Steps per で合わせておけば結構正確で、ボルト穴やタップ下穴をセンタードリルで開けておいて、ボール盤でドリルを通せばきっちり合いました。

第2世代(?)として、本体フレームをアルミ板で作り直し、各軸の送りガイドはテフロン板を組み込んだものにしています (下の写真の赤丸の部分)。
スピンドルモータの減速や送りネジはMDF時代と変わっていません。
スピンドルもベアリング剥き出しの簡単なもので、今から見るとよく削れてたな〜という思いです。

現在では、送りガイドをリニアガイド(Z軸を除く)に、スピンドルをER11コレットチャックに、送りネジを台形ネジ(Z軸を除く)になど、各部を変更・改良してきましたが、今に至るまで全体の構成は変わっていません。

アルミ合金なので残念ながら鉄鋼材料は削れませんが、アルミ材およびアクリルなどの樹脂材料はそこそこの加工ができるようになりました。

キットではなく、自分で考えて作ったCNCフライスについて、順不同ですがボチボチと書き綴っていきます。

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